群馬県安中市にある「アプトの道」は、かつての信越本線の廃線跡を利用したハイキングコースです。
横川駅から旧熊ノ平駅まで、トンネルや橋梁、レンガ造りの鉄道施設を見ながら歩くことができます。なかでも、碓氷第三橋梁、通称「めがね橋」は、アプトの道を代表する観光スポットです。
ただし、アプトの道は「駅から少し歩けば見どころに着く観光地」というより、片道約6kmの道を歩くハイキングコースです。
私自身、往復12kmを単純な徒歩速度から計算し、「3時間あれば歩けるだろう」と考えて訪れました。しかし、実際には上り坂やトンネル、見どころでの撮影や休憩があり、時間に余裕を持った計画が必要でした。

この記事では、アプトの道の距離・所要時間・アクセス・駐車場・見どころ・服装をまとめます。
アプトの道とは?
アプトの道は、旧信越本線のアプト式鉄道時代の廃線敷を利用して整備された遊歩道です。
コースは、JR信越本線の横川駅付近から始まり、旧丸山変電所、峠の湯、碓氷湖、めがね橋を経て、旧熊ノ平駅まで続いています。
安中市によると、アプトの道には旧丸山変電所をはじめ、6つの橋梁と10の隧道が残されています。単なる自然の中の遊歩道ではなく、碓氷峠を越えた鉄道の歴史を歩きながら体験できるコースです。

アプトの道の距離と所要時間
まず確認したい基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区間 | 横川駅~熊ノ平 |
| 距離 | 片道6.3km(往復12.6km) |
| 公式所要時間 | 見学・休憩込み4~5時間程度 (徒歩時間は往路125分 復路96分) |
| 料金 | 無料 |
| 開放時間 | 通年・終日 (トンネルの照明時間はAM7時~PM6時) |
安中市の案内では、横川駅から熊ノ平までの往路は約6.3km、約125分、復路は約6.3km、約96分とされています。往復の歩行時間だけで約3時間40分かかる計算です。
ここに、次の時間が加わります。
- めがね橋や碓氷湖での見学時間
- 写真撮影
- トンネル内や橋梁付近での休憩
- 水分補給
- 碓氷峠鉄道文化むらや峠の湯への立ち寄り
そのため、横川駅から熊ノ平まで往復する場合は、最低でも半日程度を見ておくのがおすすめです。
アプトの道のルートと見どころ
安中市が公開している案内では、横川駅から熊ノ平まで、次のような順番で進みます。
横川駅

アプトの道の起点です。
横川駅はJR信越本線の終着駅で、駅周辺には「峠の釜めし」で知られる荻野屋や、碓氷峠鉄道文化むらがあります。
電車で訪れる場合は、横川駅を起点にすると動きやすい一方、鉄道文化むらを見学してから歩くのか、帰りに立ち寄るのかをあらかじめ決めておく必要があります。
アプトの道だけでなく、碓氷峠鉄道文化むらも見学する場合、全体でかなり長い時間が必要になります。
碓氷峠鉄道文化むら

横川駅の近くにある鉄道テーマパークです。
碓氷峠を越えた鉄道の歴史や、かつて使用されていた車両を見学でき、中に入れる車両もあります。また、運転体験なども行っているなど、国内でも指折りの鉄道博物館になります。
アプトの道と鉄道文化むらは相性がよく、鉄道車両や施設を見学してから廃線跡を歩くと、コース上に残る鉄道遺産をより理解しやすくなります。
ただし、鉄道文化むらをしっかり見学してからアプトの道を熊ノ平まで往復すると、1日がかりになる可能性があります。一応(10年前の記事にはなりますが、)寄っていったときの日記記事が残っていますので、もし気になる方は御覧ください。
また、営業時間についても、公式ページからのご確認をお願いいたします。


碓氷関所跡
横川駅からアプトの道を進むと、碓氷関所跡があります。
碓氷峠は古くから交通の難所であり、中山道を通る人や物を管理する場所でもありました。アプトの道は鉄道の廃線跡ですが、周辺には鉄道開通以前から続く交通の歴史も残っています。
旧丸山変電所

旧丸山変電所は、アプトの道を代表する鉄道遺産の一つです。
レンガ造りの建物が緑の中に残されており、廃線跡らしい風景を感じられます。
私が訪れた際にも、駅やトンネルだけではなく、この変電所跡が印象に残りました。単に線路がなくなった場所を歩くのではなく、かつて峠を越える列車を支えていた施設を間近に見られるのが、アプトの道の魅力です。
なお、旧丸山変電所は外観を中心に見学する場所として考えておくとよいでしょう。
峠の湯

峠の湯は、アプトの道の途中にある休憩・入浴施設です。
全区間を歩く場合、ここを休憩地点として利用する計画も考えられます。ただし、営業時間や休館日は訪問前に確認してください。
アプトの道は往復すると距離が長くなるため、歩き終わった後に入浴できる計画にすると、旅行全体の満足度も高めやすくなります。
碓氷湖

アプトの道からは、碓氷湖を見渡せる場所があります。
トンネルやレンガ構造物が続くコースの中で、湖や森林を眺められる場所として印象に残ります。紅葉の時期には、碓氷湖周辺の景色も見どころになります。
私が訪れた際は、碓氷湖まで到着した時点で、想定よりも時間がかかっていることに気がつきました。
「片道6kmだから、時速4kmなら1時間半」と考えていても、実際には写真撮影や休憩、坂道の影響があります。碓氷湖やめがね橋でゆっくり過ごしたい場合は、時間を多めに取っておく必要があります。
碓氷第三橋梁・めがね橋

アプトの道で最も有名な見どころが、碓氷第三橋梁、通称「めがね橋」です。
明治時代に建設されたレンガ造りの橋梁で、4連のアーチが特徴です。橋の下から見上げると、橋脚の大きさやレンガの量感を実感できます。
橋の上には遊歩道が整備されており、下から見るだけでなく、橋の上を歩くこともできます。安中市によると、橋上へ向かう階段は123段あります。
めがね橋は、アプトの道を歩く人だけでなく、駐車場から訪れる人も多い観光スポットです。そのため、全区間を歩く時間がない場合は、めがね橋周辺を中心に訪れる方法もあります。
旧熊ノ平駅・熊ノ平信号場

アプトの道の終点側にあたるのが、旧熊ノ平駅周辺です。
現在は駅として使われていませんが、かつての信越本線が碓氷峠を越えていた時代の面影を感じられます。
めがね橋から熊ノ平までは、さらにトンネルや橋梁が続きます。めがね橋を見て戻る人も多い区間ですが、鉄道遺産やトンネルをじっくり見たい場合は、熊ノ平まで歩く価値があります。
アプトの道のおすすめの歩き方
全区間を往復する場合
横川駅から熊ノ平まで歩き、同じ道を横川駅へ戻ります。
おすすめの時間配分は次のとおりです。
- 歩行時間:約3時間40分
- 見学・撮影・休憩:約1時間
- 合計:約4〜5時間
朝から歩き始める場合は、横川駅のおぎのやで昼食や買い物をする時間も確保できます。
ただし、碓氷峠鉄道文化むらも見学する場合は、さらに追加で2-3時間考えておくのがよいでしょう。
めがね橋を中心に歩く場合
アプトの道全体を歩く時間がない場合は、めがね橋周辺を中心にする方法があります。
めがね橋駐車場から橋までは徒歩約5分です。駐車場には普通車22台分のスペースがあり、トイレも設置されています。
ただし、めがね橋周辺だけを訪れる場合は、横川駅から歩くアプトの道とは異なる体験になります。
「廃線跡を歩くこと」が目的なら横川駅起点、「めがね橋を見ること」が目的ならめがね橋駐車場起点、と考えると計画を立てやすくなります。
碓氷湖や峠の湯を組み合わせる場合
アプトの道だけでなく、碓氷湖や峠の湯にも立ち寄る場合は、移動時間を含めて計画する必要があります。
特に、横川駅から歩いて往復する場合は、帰りの列車やバスの時刻を先に確認しておくことが大切です。
私が訪れたときも、帰りの交通機関の時刻を意識しながら歩くことになりました。往路で見どころに立ち寄りすぎると、復路で急いで歩くことになります。

アプトの道へのアクセス
電車で行く場合
最寄り駅はJR信越本線の横川駅です。
安中市の案内では、横川駅からアプトの道までは徒歩約3分とされています。上信越自動車道を利用する場合は、松井田妙義インターチェンジから車で約7分です。
電車で訪れる場合は、高崎駅から信越本線に乗り換えて横川駅へ向かいます。
横川駅周辺には、次の施設があります。
- 碓氷峠鉄道文化むら
- 荻野屋
- 横川駅
- アプトの道入口
- 碓氷関所跡
車で行く場合
車で訪れる場合は、目的に応じて駐車場を選びます。
- アプトの道を全区間歩く:横川駅周辺
- めがね橋を見る:めがね橋駐車場
- 熊ノ平周辺を見る:熊ノ平駐車場
- 碓氷湖を散策する:碓氷湖駐車場
めがね橋駐車場から橋までは徒歩約5分です。普通車22台、大型バス4台が駐車できますが、駐車場の予約はできません。
服装と持ち物
アプトの道を歩く場合は、観光地を歩く服装よりも、軽いハイキングに適した準備がおすすめです。
靴
スニーカーなど、長時間歩きやすい靴を選びましょう。
舗装された場所が多いとはいえ、片道6km以上歩くことになります。サンダルや底の薄い靴は避けた方が安心です。
水分
自動販売機や店舗が常にあるわけではないため、飲み物は事前に用意しておきましょう。
夏季や長距離を歩く場合は、飲み物を多めに持参するのがおすすめです。
虫よけ・熊対策
アプトの道は自然の中を歩くコースです。
安中市も、害虫よけや熊対策として熊鈴を持参するよう案内しています。
明るさを確保するもの
トンネル内を歩くため、スマートフォンのライトや小型ライトがあると安心です。
アプトの道のトンネル内照明は、午前7時から午後6時まで点灯しています。午後6時以降は消灯するため、日没が近い時間帯に歩くのは避けましょう。
一応頭につけられるヘッドライトのアフィリエイトリンクも貼っておきますので、よろしければご検討下さい。
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実際に歩いて分かった注意点
往復12kmは「歩くだけ」の時間ではない
アプトの道を調べると、「片道6km」「往復12km」という距離が目に入ります。
しかし、実際の行程では次の時間が必要です。
- 写真を撮る時間
- 橋梁や変電所を見る時間
- トンネル内で立ち止まる時間
- 水分補給や休憩
- 道を確認する時間
- めがね橋周辺を見学する時間
私の場合、往復12kmを3時間で歩けると考えていましたが、実際には帰りの交通機関の時刻を気にしながら歩くことになりました。

アプトの道を初めて歩く人は、3時間ぴったりの計画ではなく、4〜5時間程度の余裕を持つ方が安心です。
往路と復路では歩く速度が違う
横川駅から熊ノ平へ向かうときは、全体として上り方向になります。
一方、帰りは下り方向になるため、同じ距離でも復路の方が短い時間で歩けることがあります。
公式の所要時間でも、往路約125分に対して復路は約96分です。往路と復路を同じ時間で計算するのではなく、上りに時間がかかることを前提にした方がよいでしょう。
熊ノ平から軽井沢方面へ歩く場合は注意
熊ノ平から先は、かつての信越本線が軽井沢方面へ続いていた区間です。
しかし、現在の道路状況や歩道の有無を考えると、アプトの道を歩く感覚で軽井沢まで向かう計画はおすすめしません。
軽井沢方面へ移動する場合は、バスなどの公共交通機関を利用できる時期や運行状況を確認した方が安全です。

周辺観光と組み合わせるモデルコース
半日でアプトの道を歩くコース
- 横川駅
- アプトの道
- 旧丸山変電所
- 碓氷湖
- めがね橋
- 熊ノ平
- 横川駅へ戻る
- 荻野屋で食事
全区間を歩く場合は、見学時間を含めて4〜5時間程度を見ておくと安心です。
鉄道ファン向けコース
- 横川駅
- 碓氷峠鉄道文化むら
- アプトの道
- 旧丸山変電所
- トンネル群
- めがね橋
- 熊ノ平
- 横川駅
このコースは、鉄道文化むらの見学時間が加わるため、半日では足りない可能性があります。
めがね橋中心の短時間コース
- めがね橋駐車場
- めがね橋を下から見学
- 橋上の遊歩道
- 周辺の写真撮影
- 駐車場へ戻る
めがね橋は無料で見学でき、24時間見学可能とされています。ただし、周囲には街灯がないため、日没後の訪問は避けた方が安全です。
よくある質問
アプトの道は子どもでも歩けますか?
道が整備されている区間はありますが、横川駅から熊ノ平まで往復すると約12kmあります。
子ども連れの場合は、全区間を往復するのではなく、めがね橋周辺など区間を絞る方法も検討するとよいでしょう。
トイレはありますか?
めがね橋駐車場には公衆トイレがあります。
全区間を歩く場合は、出発前に横川駅周辺でトイレを済ませ、途中の施設や駐車場の場所も確認しておくと安心です。
雨の日でも歩けますか?
雨の日は、路面やトンネル内が滑りやすくなる可能性があります。下の画像のように石が敷き詰められている場所も多く、特に注意が必要です。
また、雨具を着た状態で片道6km以上歩くことになるため、天候が悪い場合は予定を変更することも考えた方がよいでしょう。(鉄道文化むらメインにするのもアリだと思います)

めがね橋だけならどのくらい時間がかかりますか?
めがね橋駐車場から橋までは徒歩約5分です。
橋の下からの見学、橋上の遊歩道、写真撮影などを含めると、少なくとも30分〜1時間程度は見ておくとよいでしょう。
熊ノ平から軽井沢まで歩けますか?
アプトの道の終点は熊ノ平です。
熊ノ平から軽井沢方面へ歩く場合は、歩道の状況や交通量に注意が必要です。徒歩での移動を前提にせず、バスなどの運行状況を確認して計画することをおすすめします。
まとめ
アプトの道は、横川駅から熊ノ平まで約6.3km続く、旧信越本線の廃線跡を利用した遊歩道です。
めがね橋や旧丸山変電所、トンネル、熊ノ平駅跡など、鉄道遺産を歩きながら見学できます。
全区間を往復する場合の距離は約12.6kmで、歩行時間だけでも約3時間40分が目安です。見学や休憩を含めると、4〜5時間程度を確保しておくと安心です。
短時間で訪れたい場合は、めがね橋周辺だけを歩く方法もあります。
実際に歩いてみると、距離だけでは分からない上り坂や、見どころで立ち止まる時間の大切さが分かります。初めて訪れる場合は、帰りの交通機関に間に合うよう、余裕を持った計画を立ててみてください。
より詳しい実際の行程や、往復12kmを想定より急いで歩くことになった体験については、何度か貼ってありましたが、こちらの記事で紹介しています。ご参考に是非ご覧ください。



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