廃墟も見ながら高原リゾートを歩く(小海線 清里-野辺山駅)

今見に行くべきもの


清里は八ヶ岳の裾野の先にある高原(清里高原)にある避暑地です。特に清里は1980年代から1990年代初頭にかけてリゾート地として多くの人々が訪れました。ブームが過ぎ去ってから30年近く経った現在、駅付近には少なからず廃墟が見られるということを聞いて見に行くことにしました。

今回の旅行
旅程:横川→軽井沢→小諸→野辺山→清里(野辺山・清里間は徒歩)
時間:6時間(12:00~18:00)
このバスに乗るために結構大変な思いをした。詳しくは前回の記事(リンクはここ)で。

12時5分、筆者一行を乗せたバスは横川駅を出発しました。
碓氷峠を越えて軽井沢駅へ向かいます。

バイパスを走るとはいえキツいカーブが続く。

期待していたような雪景色を見ることは出来ませんでしたが、峠の付近では遠くの方までよく見ることが出来ました。

30分ほどで軽井沢に到着しました。
今度は鉄道に乗り換えて野辺山駅を目指します。
と、その前に昼食。軽井沢の待合室で頂きます。

横川で購入してから1時間程経っていたがまだ温かかった。

ご存じの方も多いでしょう、横川駅の近くの店舗で購入したおぎのやの釜めしです。
具材の中では一番味付けの効いてるごぼうがお気に入りです。

3月からサービス開始とのこと。

待合室にはテレワーク用のボックスが設置されていました。しかし軽井沢でそんな頻繁に使用されることがあるのでしょうか。新幹線駅とはいえ…。

実は横川駅から軽井沢駅まではほぼ線路で繋がっている。

軽井沢から途中の小諸まではこの列車で、小諸から先は気動車に乗り換えます。
写真の列車も残り少なくなってきました、115系です。最後になったのは5年前の冬だったでしょうか。SLのようにいつまでも走っていてほしいなあ、と思うばかりですが実際の所はどうなるのかわからないものです。

軽井沢から列車に揺られること2時間。
野辺山駅に到着しました。横川と比べ気温は6度以上下がって約4度。加えて歩きづらい程強い風が吹いています。

1983年に完成した駅舎。普通の駅舎が観光地用に魔改造されたような感じ。

前々日、前日と暖かい日が続いていたこともあり雪は殆ど融けてしまっていましたが、筆者にとっては今年初めて見るものでした。

駅前の観光施設は殆どない。

駅前は閑散としています。野辺山の観光スポットが駅から離れている事も大きいでしょうが、少しさびしい気もします。それとも筆者が思い浮かべるリゾート地って俗っぽすぎたのかもしれません。

「菊本 おみやげ店」この駅前の店舗のほかドライブインの店舗も近くに設けているらしい。

駅前の店舗も開いていませんでした。勿論夏は営業しているようです。
当然のことながら清里方面へ向かう道中も一緒です。

このホテルはどうやら閉業しているようだ。
代わりにシーズン中には駐車場の敷地を利用したカフェが営業しているらしい。

また閉業した施設も少なからずありました。一方でこのような施設跡を使用したドライブスルー型の店舗の営業がされていること等も有ってか、どの施設も荒廃した様子はありません。

八ヶ岳連峰。山まで視界を遮るものは殆どない。

鉄道の最高地点までは小海線と並走している「高原列車通り」を歩いていきます。向かい風が凄まじく、畑から舞った砂が顔を打ち付けます。更に歩道側は路面がカッチコチに凍結しており、自動車で走る分にはいいかもしれませんが少なくとも歩くのはかなりキツいです。

これは小海線車内(野辺山~信濃川上)から撮影したもの。

一方で天気がいいのもその通りで、時々踏切の所で写真を撮ったりもしました。

ずっと登っていってるが午前歩いたアプトの道ほどではない。そりゃそうか。
最高地点には神社がある。…なんで?

歩き始めて30分強で最高地点にたどり着きました。上下の写真のように神社や石碑といった仰々しいものが多いですが、たしかに夏に歩くならここで色々お参りしたり鐘をついたりするのはアリですね。上の写真右半分に写っている建物は土産とうどんやおやき、それにソフトクリームといった軽食をいただける「レストラン最高地点」です。この時期にも営業しており筆者は野沢菜のおやきを頂きました。1個210円と観光地としてはかなり良心的なお値段だったと思っています。

写真には写っていないが石碑の線路側の面に付いている鐘は叩くと思った以上にうるさい。
それはそれで面白かったけど。

後ろの建物や電柱と比較してみるとわかりやすいかもしれませんが、石碑はかなりデカいです。全体で石舞台古墳の岩一枚くらいの大きさでしょうか。正直ここまでする必要は無い気もします。ただこの石碑がある敷地には観光地然とした公衆トイレも設置されており、観光客に親切な場所であることは確かです。

「22」とかかれたキロポストと並んでいる線路部分が最高地点の本体。

実際の最高地点部分にはご丁寧に踏切があり、そこから(当然遮断器が上がっている時ですが)撮影することが出来るようになっています。最高地点そのものはかなり味気ないものですし、ここまで大きく観光地化しようとしたのはすごいことなんでしょう。しかし先の写真でと出てきた最高地点神社だとか、あれを設置したという「最高地点を愛する会」とかはやっぱりやりすぎな感じがしちゃいました。

このまま清里の方へ歩いていきます。

歩行者用のスペースは殆どない。やはり車で来るべき場所なんだろうとか思ってたら右側に歩道があった。
それに気づく前、脇を走る車にビクビクしながら撮ったもの。
最高地点から清里に近づくまでの道沿いの建物はそこまで多く見られない。

清里に近づくにつれて、テーマパーク然とした建物が出てきました。新しいっちゃ新しいですが、廃墟の新旧に貴賎はありません。

写真では分かりづらいが、道の奥は枝が散乱していて歩きづらい。

国道141号線と県道28号線との交差点のアンダーパスへ続く歩道です。アンダーパス自体には照明が整備されていましたが、そこまでの道はかなり見通しが悪いものでした。

中央右の中にも幾つか建物が見えたが立ち入れなかった。

最高地点から歩いて40分強で清里駅前に到着しました。県道28号線から一本曲がってからというもの車も全く走っていません。地方で国道や県道沿いが発展した一方で駅前が置いてきぼりになるという点では、清里駅前もよくある例の一つに過ぎないのかもしれません。その上でここが廃墟好きの間でそこそこ有名なのは、栄えたのが比較的最近であることと残った建物に特徴があるからなのでしょうか。

清里駅前の建物でも有名なMILK POT

こうして見るとやはり極端に建物が荒廃しているものは少ないようです。それどころかストリートビューを見ての通りですが駅の目の前の通りで廃墟になっている建物は殆どありません。

でも「頭上注意」とか見ると「あ~」ってなる。
解体できないのは所有者関係が複雑だから、らしいが本当の所はよくわからない。

駅前の通りはたしかに殆どの建物がシャッターを降ろしていましたが、やはりこれは夕方であることやオフシーズンであることが大きいようです。

ワーゲンバスが入っているこの建物は以外にも空き店舗。

廃墟でも多くがしっかり管理されているのでしょうか、基本的に廃墟かどうかは不動産の張り紙が貼ってあるかで判断したりしていました。
一方で駅前の道から離れると様子は変わってきます。

外装はどこか学園祭を思い出させる。でもシーズン中は営業してそう。
「カインドホテル・ヤチホ」跡。八千穂高原は清里とは八ヶ岳連峰を挟んで反対側。謎のネーミングである。
「星の王子」の看板。どんな建物だったのか正直検討もつかない。

解体途中のような建物も見ることが出来ました。その一方で営業中の店も少なくなく、それも清潔な印象のある建物が殆どだった様に思えます。
ブームが冷めたのは確かなことですが、実際の所過去の観光地になったというわけではなく、その頃の廃墟が生まれ変わろうとしている観光地に良くない印象を与えてしまっているというのが実際の所でしょうか。
個人的には観光地に廃墟があってほしいものではありますが、高原リゾートを志向している観光業界側からすれば良いはずはないですもんね。

また、少し面白い取組もされていました。

オフシーズンということで誰も居なかった。独占できるのは嬉しい。

これは清里駅前にあるファミリーマートの2階に設置されたイートインスペースです。ぶっちゃけどう見てもコンビニのスペースには見えないと思います。
調べてみた所元々は「suzuran」という洋服店だったようで、そのうちの2階のスペースをそのままイートインとして流用したものということでした。

google ストリートビューより。
ファミリーマート本体はあのよくある豆腐型の店舗のまま1階部分を全部入れ替えるようにして設置されていた。
2018年にみどりの窓口が閉鎖した清里駅より帰途につく。
待合室も温めている部屋とそうでない部屋がある大きな平屋駅だが…。

実はオフシーズンの、それも平日には店を開けていないだけと知ったのは本記事を執筆中にストリートビューを見た時で、観光中は勝手にゴーストダウンだと勘違いしていました。もしタイトルと最初の文章との間に何か違和感を覚えている方がいらっしゃるとすれば、それが原因かもしれません。

とは言いながらなんですがストリートビューの写真は3年近く前のものでもあり、コロナ禍の影響も考えてみると果たして今年のシーズン中では清里がどうなのか、想像しにくい所があるのも確かです。これは注目しがいがあるかもしれませんね。

それでは今回はこの辺で。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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